おおた女性ネット創設の意味

 私は元DV被害者です。

 夫から避難した施設で見たこと、聞いたこと、感じたことが今の活動の原点です。

 施設に来る人は皆ボロボロに傷つき貧困でした。下着の替えもない人がいました。

 そして気づきました。ここに来るお子さんは皆学力が低いんです。DV家庭のお子さんの頭の中はいつも恐怖や緊張でいっぱいなので勉強が身につかないんですね。小学校2年生で数を30まで数えられないお子さんがいました。

 また4歳で階段を5、6段上がってから妹に跳びかかるお子さんもいました。このお子さんはいつも大人の目を盗んで妹に攻撃をします。「僕は生まれてこなければよかった」と言いました。

 児童虐待もDVも加害者に責任がありますが、加害者は皆怒っています。彼らは「怒り」をターゲットに当てるやり方を親や周りから学んだのです。彼らは感情の整理や調整の仕方を知りません。これは経済的貧困のさきにある文化的貧困(どうして腹が立つかを説明できないという知恵や知識の不足)のひとつだと考えます。心が腹をすかせています。

 怒鳴る親のお子さんは怒鳴るようになります。黙っている親のお子さんは黙っているようになります。

 「怒り」をターゲットに爆発させる人と対照的に「怒り」を自分の中にしまい込む人(黙って我慢する人)もいます。彼らは争いが嫌いですが気持ちを伝えるのが苦手なので、人間関係がうまくいかず自信を失っていきます。これを繰り返すとウツや病気になりますので実は、自分で自分を攻撃しているのに気がついていません。心は満たされずやはりお腹がすいた状態です。これも文化的貧困です。

 

 日本では物品の他にお金で先進医療や時間や手間、遊びなどを買うことができますが、お金がなければそれらを買うことができません。学費を払うお金がなければ高等学校や大学等に行けませんし、塾代がなければ進学塾にも通えません。「お金が力」だと感じる人は多いのではないでしょうか?お金がないとやりたいことができないことが多いんです。

 

 ですから貧困のお子さんたちは不公平を感じます。ひとり親のお子さんたちはなおさらです。不公平感は想い通りにいかないことを増やすので「怒り」につながりやすいですね。

 「怒り」を人や物や自分に向けるのはマイナスです。私はどうしたらマイナスをプラスに変えることができるか考えました。

 施設に入ってから約1年が経過していました。

 離婚調停が成立して故郷に帰った私は自転車をこぎました。

 

 母子家庭のお子さんに進学のための無料学習会を拓く。

 

 お子さんたちはたくさんの人たちから大切にされる(愛される)ことを実感すれば「自分を大切にするように相手も大切にする」

ようになるわ!

 私達が無料学習会をスタートさせて8ヶ月経ちました。貧困ですが生徒さんたちが学習会に通ってきてくれます。地元の国立大学の大学院生たちが順番にボランティア講師として協力してくださるようになりました。成績が上がった時に見せてくれる生徒さんの笑顔は素敵です。いつのまにか私達が生徒さんたちから教えてもらっているのに気づきました。確かに経済的貧困は不幸ですが、文化的貧困と重ならなければ必ず活路が見つかります。


おおた女性ネット代表 宗像さゆり
 090-4743-5360

宗像さゆりについて

資格:アウェア認定デートDVプログラム・ファシリテーター

   アドバンスカラーセラピスト

 

アウェアとは、DVのない社会を目指して活動する民間団体です。DV被害者支援のひとつの方法として、加害者が更正するためのDV加害者プログラムを 2002年より実施しています。また若者たちにおきているデートDVを防止するためのプログラムを、2003年より実施しています。

アドバンスカラーセラピーとは、色彩心理学に基づき、心に向き合い癒しの先の『前進』にも目を向けたセラピーです。